個人売買のトラブルって?⑤取引後によくあるトラブル

      2016/02/21  [個人売買でのデメリットは?]

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取引後によく見られるトラブルとしては、

  • 気付かなかった外装のキズやヘコミ
  • 内装の汚れや破損
  • 取引後に起こった故障

が挙げられます。

これらは、取引後前に確認できなかったことから、どうしても双方で上手く解決できずトラブルが長引くことが多く、最悪、裁判沙汰となるケースも珍しくありません。

このトラブルの場合には、どちらに修理する責任があるのかが問題解決の焦点となってくるのですが、この責任を問う上でも、まずは瑕疵担保責任について理解しておくことにしましょう。

 

1.瑕疵担保責任とは?

瑕疵とは、外部から見ただけでは簡単に発見できないような欠陥という意味です。

つまり、瑕疵担保責任とは、そのような欠陥がある場合には、売り手が買い手に対してその責任を負わなければならない担保責任のことを指します。

ですから、この瑕疵担保責任によって、隠れた欠陥が見つかった場合には、買い手は売り手に対して契約解除や損害賠償の請求ができるというわけです。

 

2.瑕疵担保責任の注意点

しかし注意しなければならないのは、瑕疵担保責任を請求できるのはあくまでも見つかった欠陥を事前に買い手が知らず、尚且つ、知らなかったことに対して買い手に落ち度がないと認められた場合のみです。

そして、期間にも制限があります。

引渡し後10年以内、そして欠陥を見つけてから1年以内に瑕疵担保責任について追求しなければ、その権利は消滅してしまうこととなります。

また、瑕疵担保責任は個人売買においては免除が認められています。

自動車売買の際に取り交わされる契約書の中に、「一切の瑕疵を負わない」といった瑕疵担保責任を問わない旨の文言が記載されていた場合には、売り手は買い手に対して一切の瑕疵担保責任を負う責任を回避することができるのです。

 

3.全てが瑕疵担保責任として認められるのか?

ここで問題となってくるのが、引渡し後に気づいた全ての欠陥が全て瑕疵担保責任として認められるのかどうかという点です。

中古車の売買の場合、個人売買に限らず修理等を行わないまま取引されることは珍しくありません。

つまり、その修理代金を想定した上での廉価な価格での取引が行われることが多いのです。

ですから、契約前に開示されていた車両状況にない欠陥が見つかったとしても、それは廉価な価格なことから買い手が修理負担するのが順当とされることが多く、全ての責任を売り手に課す事ができないのが実情です。

■インターネットオークションでの瑕疵担保責任に関する判例

それでは瑕疵担保責任がどの程度認められるのかについて理解するためにも、中古車の個人売買で起こった瑕疵担保責任を求める裁判の判例を見て行くことにしましょう。

(中古車概要)

・アルファ・ロメオ164

・右と前のバンパー及びフェンダーに擦り傷有り

・左の前後ドアにキズ有り

・左ドアノブにヒビ有り

・左リアフェンダーのトランクリッド接点に塗装ハゲ有り

・電動ファン正常の動作

・エンジン・エアコンともに良好

・低年式・中古車であることを理解して頂ける人のみの入札に限る

(購入価格)

・6万4千円にて購入

・同種の市場適正価格80~100万円

(訴え概要)

搬送した自動車には、当初開示されていた欠陥の他に、

1.ガソリンタンクの漏れ

2.センターマフラーの欠落

3.電動ファンのサビ

4.ショックアブゾーバーが機能しない

5.左のドアノブが欠損して、ドアの開閉ができない

6.右ウインカーの欠落

7.タイヤの劣化

といった欠損が認められ、これらは車両走行に重大な支障を引き起こすことになることから瑕疵に当たると主張し、瑕疵担保責任に基づく総額約78万円の損害賠償を請求。

(判決内容)

ガソリンタンクの漏れは瑕疵が認められたが、修理費として3万円が容認されたが、その他の請求に対しては棄却。

以上の判例からも、取引前に開示されていなかった損傷が取引後に見つかったからといっても、全てに瑕疵担保責任を問うことはできないのが実情であることはお分かりいただけたかと思います。

ガソリンタンクの漏れに関しては、ガソリン漏れによる引火等の可能性が考えられ、安全な走行を維持できない原因となってくるために予想もしくは予定すべき損傷の範疇を超えており、瑕疵担保責任が認められましたが、他の訴えに関しては、取引対象となった中古車の市場価格が80~100万円であることから、6万4千円という低廉な額での取引において、これくいのものは予想もしくは予定すべき損傷であると判断されたというわけです。

 

4.契約時の取り決め事項が重要!

こういった取引後トラブルをなくすためにも重要なのは契約時の取り決め事項です。

特にインターネットオークションでの中古車の個人売買に関しては、売り手の車輌情報のみに頼ったオークションとなるために、取引後トラブルが多くなる傾向が認められます。

今後もインターネットを介した個人売買の増加が予想されることからも、トラブルとならにための対策が重要となってきます。

これは買い手だけでなく、思いもよらない損傷から瑕疵担保責任を求められることにもなりかねない売り手にも同様に言えることです。

■開示情報はできるだけ正確に!

まずは、中古車の情報については詳細な開示が重要なポイントとなってきます。

取引後トラブルは、この開示情報にない損傷が見つかることが原因です。

ですから、買い手なら詳細に情報開示している車輌を選ぶようにし、売り手ならば現状把握している損傷情報は必ず全て記載することを心がけましょう。

■全てに瑕疵担保責任を問えないことをよく理解しておく!

送られてきた自動車に開示されていない損傷が見つかれば、売り手の責任と思ってしまうのは当然かもしれません。

しかし、個人売買において注意しなければならないのが取引価格です。

個人売買の取引価格は市場価格と比べ廉価となるケースが多く、これが中古車を個人売買で購入する人が増えている原因でもあります。

ですが、この廉価な取引価格が影響して瑕疵担保責任に問えないケースが多いのも中古車の個人売買の特徴でもあるのです。

事前に知らされていない車両走行へ影響が出るような重大な損傷がある場合には瑕疵担保責任を問うことができますが、キズやヘコミなど走行に影響のない損傷の場合には、廉価な購入価格であることから予想もしくは予定すべき損傷であると判断されて、瑕疵担保責任は認められないのが一般的です。

つまり、「安いんだから、それくらいのことはあっても不思議じゃない」というわけです。

業者を介さないために、その分、買い手は安く購入でき、売り手は高く販売できるというのが一般的に言われる中古車の個人売買のメリットです。

しかし、その価格が市場価格と比較して廉価な場合は、それでも売ってもかまわないという売り手側の事情があるわけです。

ですから、買い手はそれ相応のデメリットを負うことになる可能性が出てくることは容易に想像がつくかと思います。

あまりに安い価格での個人売買では、このような事態に遭遇するケースも多いのですが、その責任すべてを瑕疵担保責任として売り手に課すことはできないことはよく理解しておかなければなりません。

■契約時の特記事項

通常売買契約においては、売り手に瑕疵担保責任が課せられるのですが、個人売買は特例として、契約時に瑕疵担保責任を放棄する旨を記載することで、買い手に瑕疵担保責任の追求を放棄させることが可能です。

インターネットオークションの一般取引でもよく目にする「ノークレーム・ノーリターン」という記載がそれに当たります。

ですから、売り手は取引後トラブルを避けるために、この旨の記載を行うことをおススメします。

また、買い手はその旨の表記があった場合には、瑕疵担保責任を追求することができないということを十分に理解しておくようにしてください。

よくあるのが、契約事項をよく理解せずに売買契約を行い、その後に瑕疵担保責任を知って売り手に責任追及する人が多いのですが、これでは後の祭りとなってしまいます。

くれぐれも瑕疵担保責任をよく理解して、契約内容にはよく目を通すことを心がけましょう。

しかし、ここで注意しなければならないのは、いくら契約上で瑕疵担保責任の放棄を謳っていても、売り手が重大な損傷や故障を故意に隠していた場合には、この特例は無効となり、売り手は無条件で責任を取らなくてはならなくなります。

この点も、買い手・売り手合わせてよく理解しておくようにしましょう。